🌟 戦略コンセプト
この戦略「NT_ConvergeX_2model」は、
日経225先物とTOPIX先物の価格差(スプレッド)を活用して収益を狙うトレーディングモデルです。
この2つの指数は相関が強く、同じような動きをするため、
短期的にスプレッドが大きく広がっても、時間が経てば再びバランスを取り戻す(縮小する)傾向があります。
そこでこの戦略では、
「スプレッドが広がりすぎた後、縮小に向かう場面を捉えて利益を得る」
ことを目的としています。
具体的な取引は非常にシンプルで、
- ミニ日経225先物を 1枚売り
- ミニTOPIX先物を 1枚買う
というペア取引です。
相関が強い2つを売りと買いでセットにすることで、
自然にヘッジ効果が働き、相場全体の上げ下げには影響されにくい構造になっています。
⚙️ 戦略の機械学習モデル
この戦略は、単純な移動平均や目視の逆張りではなく、
機械学習(XGBoost)を用いて精密に売買ポイントを判断しています。
🔥 2階層モデルによるフィルタリング
1️⃣ 1次モデル(XGBRegressor)
- 8営業日後にどの程度スプレッドが縮小するかを数値予測します。
- 例えば「-0.75%以上の縮小が見込める」となった場合だけ次の段階へ。
2️⃣ 2次モデル(XGBClassifier)
- さらにその取引が実際に利益になる確率を推定。
- 例えば「この取引が利益になる確率は70%以上」と判定された場合のみエントリー。
この二重の判定により、
「なんとなく戻りそう」ではなく、統計的に勝てる取引だけに絞り込むことができます。
🧪 10年に渡る徹底的な検証
この戦略は、
- 2015/1/5 ~ 2024/12/30 の10年間を対象
- 過去200営業日ごとにモデルを再学習
- 翌営業日の取引を1日ずつ予測するウォークフォワードテスト
未来データは使わず、未来リークゼロで検証を行いました。
さらに特徴量(データの切り口)は
- 将来8営業日後の縮小とどれだけ関係があるか(ICテスト)
- 200日ごとのローリングIC(安定性)
をチェックし、効果の高いものだけを厳選しています。
💹 最終検証結果(パフォーマンス)
💰 取引結果(2015/1/5~2024/12/30)
指標 | 結果 | コメント |
---|---|---|
取引数 | 541 回 | 過剰な売買を避け、選び抜いた回数 |
勝率 | 72.64 % | 約7割が利益となる高確率 |
総損益 | +9,432,250 円 | 10年トータルで大きなプラス収益 |
PF | 3.87 | 利益額が損失額の約4倍で非常に健全 |
平均利益 | +32,359 円 | 勝つ時はしっかり取れる |
平均損失 | -22,194 円 | 損は抑え気味で推移 |
ペイオフレシオ | 1.46 | 1回の勝ち>1回の負け |
最大ドローダウン | -548,500 円 | 許容可能なリスク範囲で収まっている |
🧠 MLモデルの精度評価(2次モデル)
📊 ML5指標と意味
指標 | 値 | 意味 |
---|---|---|
Accuracy | 0.6341 | 全体での正解率 |
AUC | 0.6213 | ROC曲線下面積。分類力の総合力指標 |
Precision | 0.7264 | エントリーした中で実際に勝った割合 |
Recall | 0.3680 | 本来勝てた取引をどれだけ拾えたか |
F1 Score | 0.4885 | PrecisionとRecallのバランス総合値 |
ここでも Precision が高い(72%)ことから、
エントリーした場面の多くでしっかり利益が出せていることが確認できます。
🧪 ブートストラップ検定結果
このモデルはさらに、
- データの順序をシャッフルしたダミー(ランダムシナリオ)で50回シミュレーションを行い平均や標準偏差と比較することで、偶然このような結果になったのではないかを検証しました。
結果は以下の通りです:
項目 | 結果 |
---|---|
シャッフル平均損益 | -1,932 円 |
シャッフル標準偏差 | 2,554 円 |
p値(シャッフル > 実モデル) | 0.0000 |
つまりシャッフルした場合、平均でほぼ損失(-1,932円)、
一方、実際のモデルでは同じ計算基準で平均損益が +13,564円(= 総損益943万円 ÷ 541取引)、
この差が偶然起こる確率(p値)は 0.0000。
つまり統計的に見ても、このモデルの優位性はほぼ確実です。
💡 この戦略のメリット・デメリットと収益源・リスク
✅ メリット
- 相関が強い2つを売買セットにするので、自然に市場全体の動きに対するヘッジ効果が期待できる。
- 日経225先物とTOPIX先物は流動性が非常に高く、売買コスト(スリッページ)がほぼ無視できる。
- 二重のAIフィルタにより、勝率7割を超える堅実な取引だけを厳選。
⚠ デメリット・リスク
- 稀にスプレッドが想定以上に逆行する局面があり、含み損が増えることがある。
- 完全ヘッジではなく、市場全体が暴落すると多少影響を受ける。
- 最大ドローダウンは約-55万円だが、将来も必ずこの範囲に収まるとは限らない。
🚀 まとめ
この「NT_ConvergeX_2model」は、
10年間のウォークフォワード検証を未来リークゼロで徹底的に行い、
さらにシャッフル検定でも統計的優位性を証明した、スプレッド縮小アルゴリズムです。
- 相場の上げ下げに振り回されず、
- 高精度AIによって徹底的に選別されたシグナルだけを取りにいく。
これからの不透明な市場環境においても、
頼れる収益エンジンとして組み込み可能な戦略の一つです。