「勝率が高いから大丈夫」
「資金が少なくても、ミニ1枚ならいける」
そう思って始めたトレードが、実は“破産が前提の戦略”になっているとしたらどうでしょうか?
この記事では、バルサラの破産確率をもとに、リスクの大きさがどれだけあなたの生存率を左右するかを「数値と色」でハッキリ示します。
🔍 バルサラの破産確率とは?
「バルサラの破産確率(Balsara’s Probability of Ruin)」とは、
トレード戦略を継続した場合、資金がゼロになる(破産する)確率を定量的に示した指標です。
この概念を提唱したのは、ナウザー・バルサラ(Nauzer Balsara)博士。
元NASAエンジニアという異色の経歴を持ち、ファイナンスの世界においても精密なロジックを持ち込んだ人物です。
著書『Money Management Strategies for Futures Traders』では、
資金管理が戦略の優劣以上にトレード結果を左右することを、統計モデルと実証的データで示しました。
📘 バルサラ博士のメッセージ
- 勝率が高くても、資金の使い方が悪ければ破産する
- 「生き残る」ことを最優先しなければならない
- 破産確率を“0%に近づける”ことを設計の基本にせよ
✅ バルサラ破産確率を出すための3要素
要素 | 説明 |
---|---|
勝率(Win Rate) | 勝てる確率 |
ペイオフレシオ | 平均利益 ÷ 平均損失 |
リスク率 | 1トレードあたりに資金の何%をリスクにさらすか |
特に重要なのは「リスク率」です。
リスクが大きいほど、わずかな連敗でも資金が枯渇し、どれだけ勝率が高くても破産に至ります。
📊 破産確率表の見方と使い方
ここでの破産確率表は、勝率(横軸)とペイオフレシオ(縦軸)から、破産確率を色分けで示したものです。
色 | 破産確率 | 意味 |
---|---|---|
🟥 赤 | 30%以上 | 破産寸前 : 破産確率が高く実用に不適 |
🟨 黄 | 15~30% | 危険域 : 資金管理・戦略構造に見直し必要 |
🟦 青 | 約5~15% | 要注意 : 市場変動により破産リスク拡大の恐れ |
🟩 緑 | 5%未満 | 安全圏 : 資金管理が良好 |
🔁 リスク率の違いによる破産確率の比較
「同じ戦略でも、リスク率が違うだけで破産確率が激変する」
──それを証明するのが以下の破産確率表です。
🟩 リスク 1%:慎重な運用なら生き残れる可能性は高い

- 勝率60%・ペイオフ1.0 → 破産確率 1.8%
- 勝率70%・ペイオフ1.0 → 破産確率 0.0%
- 緑(安全圏)が多く、リスクは非常に低い
🟦 リスク 2%:一般的な標準水準。破産確率は跳ね上がる

- 勝率60%・ペイオフ1.0 → 破産確率 13.5%
- 勝率70%・ペイオフ1.0 → 破産確率 1.8%
- 一気に青・黄ゾーンが広がり始める
🟨 リスク 4%:小資本でありがちな危険ゾーン

- 勝率60%・ペイオフ1.0 → 破産確率 36.8%
- 勝率70%でも 13.5%
- 勝率90%でも 1.8%
→ 高勝率でも破産する現実がここにある
🔴 リスク 10%:これはもはやトレードではなくギャンブル

- 勝率60%・ペイオフ1.0 → 破産確率 67.0%
- 勝率70%でも 44.9%
- 勝率90%でも 20.2%
このレベルになると、どんなに勝率が高くても「運用不可能」です。
💥 実際のトレーダーにありがちな例
投資資金 | 1回の損失 | リスク率 | 状況 |
---|---|---|---|
25万円 | 1万円 | 4% | 破産確率36%超。実は超危険設定 |
50万円 | 1万円 | 2% | 破産確率13.5%。注意ゾーン |
100万円 | 1万円 | 1% | 破産確率1.8%。実運用レベルで安全 |
💥 リスク10%の現実:破産は“確率”ではなく“前提”
ミニ日経225先物で考えると、次のようになります:
- 証拠金:25万円
- 1トレード損失:25,000円(=リスク10%)
- 値幅:250円 × 100倍 × 1枚 = 25,000円損失
これは日経先物の“1日の通常変動幅”で簡単に起こる金額です。
つまり、たった1日で口座の10%が吹き飛ぶ可能性があるということ。
「勝率が高いから大丈夫」ではなく、“リスクの大きさで破産が決まる”という事実を、この表は物語っています。
💡 バルサラ破産確率が教えてくれること
状況 | 結果 |
---|---|
リスク率が高い(3〜10%) | 勝率が高くても破産率は急上昇 |
リスク率が低い(1%以下) | 勝率が低くても生存率が高くなる |
ペイオフレシオが高い(2.0以上) | 勝率40%でも生き残ることが可能 |
ペイオフが低く勝率も低い | 破産確率は100%に限りなく近づく |
✅ 結論:勝率ではなく“リスク率”が生き残りを決める
バルサラの破産確率は、「あなたのトレードが破産前提かどうか」を客観的な数字で示してくれる唯一のツールです。
- 勝率が高くても、リスクが高ければ破産する
- 勝率が低くても、リスクを抑えれば生き残れる
- 少額資金こそ「低リスク設計」が命綱
✅ まとめ:勝率60%でも破産する人と勝率50%でも生き残る人の違い
- 安全圏は「破産確率5%未満」
- 少額・高リスク運用は破産前提
- トレードに必要なのは「当たる」ことではなく「生き残る」こと
📌 あなたの戦略、本当に“生き残れる設計”ですか?
次の一歩は、「破産確率表に自分の戦略を当てはめてみること」です。
この小さな行動が、あなたのトレード人生を大きく変えるかもしれません。