二段構え短期モデル(Bプラン:ロング専用)の設計・判断フロー・数値例【確定版+追記】
1. モデルの骨子(概要)
- 対象:ミニ日経225先物の5分足
- 売買サイド:ロング専用(買いのみ)。ショートは別ストラテジーとして独立構築
- 持ち方:エントリー後は9本(45分)で必ず手仕舞い
- 一次(回帰):9本(45分)後までの変動率を推定(どれくらい上がりそうか/下振れも出るが判定は上方向のみ使用)
- 二次(分類):一次の推定値が、その時点の相場の荒れ具合(ATR14)に基づく基準変動率を上回る見込み(上方向)を確率で判定
- 執行の厳格化:判定=バー終値/次バー始値で買い/9本(45分)後の終値でクローズ
- 取引禁止時間:新規発注のみ禁止(データは判断材料として使用)。
- 現行:5:00–9:30 / 15:00–17:45
- 取引日切替:現行は15:45(過去は15:15)で自動切替
- 重複保有:許可。イグジットは常に9本後のため、同時最大保有は9枚になり得る
- 将来情報は不使用:検証と運用で完全に同じ手順を貫く
2. 一次モデル(回帰):何をどのように推定するか
目的:9本(45分)先までの変動率(方向と大きさ)を連続値で推定
特徴量の考え方:
- 移動平均(3/5/10/20)と傾き(slope)・差分:直近の平均価格の流れとスピード(上り坂/下り坂の度合い)。
- RSI14(値・差分・変化率・Z):買われすぎ/売られすぎの“疲れ”。
- ATR14(値・差分・変化率・Z):直近14本の平均的な値幅=ボラティリティ。
- 出来高(差分・変化率・Z):値動きに伴う参加の勢い(裏付け)。
候補は多くても、直近の相場で効きが強い上位5本に自動で絞る。学習履歴は2420本(約10日)で固定しローリング更新。
一次の数値例(ロング前提)
- 価格 38,000円、ATR14 120円 → 基準変動率 ≒ 120×0.10÷38,000 ≈ 0.0316%
- 一次推定:
- +0.06%(基準0.0316%を上回る)
- +0.02%(基準未満)
- −0.05%(下方向:ロング判定対象外)
3. 二次モデル(分類):上方向の見込みを確率でふるいにかける
目的:一次推定が上方向で“十分に大きい”かを確率で判定(買いのみ)
基準:基準変動率 ≒ ATR14 × 10% ÷ 価格(荒い=基準高/穏やか=基準低)
確率しきい値:
- 通常 60.0%
- 当日ロスカット1回目発動後は 65.0%(= +5.0ポイント。二次モデルのみ)
- 同日2回目のロスカット発動後は 70.0%(さらに +5.0ポイント)
- 以降も状況に応じて段階引き上げ可だが、上限は 80.0% を厳守
二次の数値例(エントリーフラグ:買いのみ)
- 前提:価格38,000円、ATR14=120円 → 基準0.0316%
- 一次 +0.06%、二次確率 63.0% → 60.0%超 → 買いエントリー(ON)
- 一次 +0.02%(基準未満) → 見送り(OFF)
- 一次 −0.05%(下方向) → 判定対象外(OFF)
判定=バー終値/執行=次バー始値で買い/手仕舞い=9本(45分)後終値。
4. リスク管理(ロスカットと“当日だけ慎重”)
- ロスカット:保有合算損益が−30,000円以下になったら、次バー始値で一括クローズ(買いポジションのみ)
- 当日中の慎重モード:
- 1回目のロスカット発動後:65.0% に引き上げ(通常60.0%→65.0%)
- 同日2回目のロスカット発動後:70.0% に引き上げ(さらに+5.0ポイント)
- 以降、必要に応じて段階的に引き上げるが上限は 80.0%
- 反転(ショート)には移行しない:買いのみを厳選
数値例
- 3ポジ合計 −31,000円 到達 → 次バー始値で全クローズ → 当日中は 二次しきい値 65.0% へ
- 同日中に再び合算がロスカット水準到達 → 70.0% へ引き上げ
5. 特徴量選抜とチューニング(運用の前提ルール)
5-1. ICテスト(5営業日ごと/15:45時点でローリング抽出)
目的
直近の相場環境で効いている“ヒント(特徴量)”を機械的に抽出し、上位5本に絞るための手順。相場付きが変われば効く指標も変わる前提。
対象となる主な特徴量
- 移動平均(3/5/10/20)と傾き(slope)・差分:直近の平均価格の流れとスピード。
- RSI14(値・差分・変化率・Z):買われすぎ/売られすぎの“疲れ”。
- ATR14(値・差分・変化率・Z):直近14本の平均的な値幅(ボラティリティ)。
- 出来高(差分・変化率・Z):値動きに伴う参加の勢い。
やること(ルール)
- データ範囲:直近1210本(約5営業日)を対象に、15:45時点までの確定情報のみ使用。
- ICの計測:各特徴量と「9本(45分)後の変動率」の順位相関を取り、ICを算出。
- 選抜:ICが大きい順に5本を採用(負相関は反転して活用)。
- 固定期間:選ばれた5本は次の5営業日区切りまで固定(恣意的な入れ替え禁止)。
こうして得た「その時点の上位5本」を、一次・二次の学習に用います。
5-2. パラメータチューニング(ベイズ最適化:300試行)
目的
選抜された上位5本を前提に、一次(回帰)・二次(分類)の学習器ハイパーパラメータを自動探索し、直近環境に過不足なく合った設定に調整。
探索の代表例
- 木の深さ、学習率、木の本数(ブースト回数)
- サブサンプル率・列サブサンプル率
- 最小葉、正則化(汎化の強さ)
- (二次のみ)クラス不均衡への重み付け
手順
- 前提:ICテストの上位5本を固定。
- 探索:300試行のベイズ最適化で、一次・二次のパラメータを探索。
- 評価:時間順(シャッフルなし)で妥当性を確認し、
- 一次=予測の安定性・誤差
- 二次=識別性能(確率の当たり具合)
を総合判断。必要に応じ確率の校正も実施。
- 固定:最良パラメータは次の5営業日区切りまで運用採用(→次のICで再チューニング)。
6. 学習窓と予測(全体フローの位置づけ)
- 学習窓:常に直近2420本(約10日)の履歴でローリング学習
- 予測:学習直後に次の1本を判定(一次→二次の順)
- 売買:判定はバー終値、執行は次バー始値、手仕舞いは9本(45分)後の終値
- ロスカット後の運用:当日中は二次しきい値を段階引き上げ(60.0%→65.0%→70.0%…、上限80.0%)
7. 想定運用金額(証拠金の目安と最大保有)
- 最大同時保有:9枚(常に9本後でクローズするため)
- ミニ日経225先物:1枚あたり証拠金25万円と仮定 → 想定運用金額は約250万円(最大保有9枚・余力を含む目安)
- マイクロ日経225先物:上記の1/10 → 約25万円を目安
実際の必要額は証拠金水準・余力設計(安全マージン)・同時保有枚数の運用方針で変動します。
8. エントリー〜エグジットのタイムライン(9本=45分)
- 判定(バー終値):一次の上方向推定が基準変動率を超えるか
- 二次の確率がしきい値(通常60.0%、当日ロスカット後は65.0%→70.0%…最大80.0%)を上回るか
- 次バーの始値で買い(成行)
- 9本(45分)後の終値で必ず手仕舞い
- 同時最大保有は9枚(時間差で並ぶ)
9. 評価と検証の方針
本モデルは動的運用(5日ごとのIC選抜、ベイズ300試行、学習窓2420本のローリング、当日の段階的しきい値調整)で、バックテストの完全再現が難しい局面があります。
このため、今後はリアル運用で検証し、結果はブログで報告しようかと思っています。(取引数、勝率、PF、平均損益、最大DD、ボラ水準別の所感など)。