【特徴量の作り方と考え方 】その10:ファンダメンタルズ・外部経済指標系の特徴量

クオンツ構築

クオンツ構築において、価格やテクニカルだけでなく、ファンダメンタルズや外部経済指標を活用した特徴量も極めて重要です。

これらの指標は中長期的なトレンドの背景や構造変化を捉えるために有効であり、モメンタムやボラティリティと組み合わせることで、より堅牢な戦略構築が可能になります。


⭐ ファンダメンタルズ系とは?

企業・業種の財務健全性や成長性を測るための情報。

✅ よく使われる指標例:

種類指標内容
収益性ROE、ROA自己資本や総資産に対する利益率
割安性PER、PBR利益や純資産に対する株価の水準
成長性EPS成長率、売上成長率業績の拡大度合い
安定性自己資本比率、財務レバレッジ倒産リスクや財務健全性

⭐ 外部経済指標とは?

市場全体の動向や景気サイクルを示すマクロ経済的な情報。

✅ 代表例:

  • 長短金利差(10年−2年):景気後退の予兆
  • 米国CPI(インフレ率):FRBの利上げ・利下げ判断材料
  • ドル円・原油・VIX:マーケットの外部リスク要因
  • 中国PMIなどの外需指標:輸出関連株や資源銘柄に影響

⭐ クオンツ戦略での活用法

✅ 1. フィルターとして活用

例:ROEがプラスで自己資本比率が一定以上の銘柄に絞る → 財務健全な企業だけを対象にスクリーニング。

✅ 2. スコアに変換

ファンダメンタルズ指標をスコア化(Zスコアやランキング)して、他の要素と加重平均で組み合わせ。


⭐ ファンダメンタルズ指標にもZスコアを活用!

ファンダメンタルズは絶対値で見ると企業や業種ごとのスケール差が大きいため、Zスコア化が有効です。

✅ 実例:

  • PBRのZスコア(過去5年平均と比較)
    • 現在値 = 1.2
    • 5年平均 = 0.8、標準偏差 = 0.2
    • Zスコア = (1.2 – 0.8) / 0.2 = +2.0 → 歴史的に見て割高 → ロング対象から除外やショート検討
  • ROEのZスコア(セクター内比較)
    • セクター平均ROE = 8%、対象銘柄ROE = 12%、標準偏差 = 2%
    • Zスコア = (12 – 8) / 2 = +2.0 → 同業他社と比較して高収益 → ロング優位候補

このように、過去の自身との比較や同業他社との相対比較にZスコアを使うと、判断のブレが減ります。


⭐ 応用アイデア

活用シーン指標Zスコア評価例
景気判断長短金利差マイナス幅がZ=−2以下 → 景気後退懸念強まる
業績評価EPS成長率Zスコア高 → 成長加速トレンド入り
セクター間比較ROEZスコアで収益性の相対比較

⭐ まとめ

ファンダメンタルズや外部経済指標は、テクニカルでは拾えない市場の本質的な変化を捉えるための重要な武器です。

Zスコア化や差分分析を組み合わせることで、“単なる割安/割高”ではなく、“今、異常かどうか”という動的な視点が手に入ります。

📘 次回は「機械学習用特徴量」について解説します。

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