トレード戦略において、「どの場面で勝負するか」を判断するのが“フィルター型特徴量”です。これは、エントリーの“質”を高めるために使われるもので、単体で売買を決めるのではなく、他のロジックと組み合わせて「今はやるべきか、やらざるべきか」を判定する役割を担います。
⭐ フィルター型特徴量とは?
トレンドの有無、ボラティリティの高さ、過熱感、ニュースイベントの有無など、“市場の状態”や“戦いやすい地合いか”を数値で判定する特徴量です。
▶ 目的は「戦略の条件付け」
- 本来の売買ロジックに「条件をかける」ことで、勝率やPFを改善
- 例:RSI戦略に「トレンドが発生している時だけ実行」のフィルターをつける
⭐ 代表的なフィルターの例と活用法
① トレンドフィルター(移動平均)
- 例:価格が25日移動平均を上回っているか?
- 解釈:上昇トレンド中かどうかを判定
✅ 実例:
- 価格 = 10500円、25MA = 10300円 → フィルターON(買い条件)
- 価格 = 10100円、25MA = 10300円 → フィルターOFF(スルー)
② ボラティリティフィルター(ATR・HV)
- 一定以上の値動きがあるかどうかを判定
- 低ボラでは戦略をスルー、高ボラ時だけ実行
✅ 実例:
- 20日ATR = 250円以上 → トレード可能
- 20日ATR = 100円 → トレード回避
③ 時間・イベント系フィルター
- 曜日や時間帯、経済指標発表前後などでON/OFF
- 例:月曜の寄り付き後はトレードを避ける、FOMC当日は休む
④ Zスコアによる極値回避
- 価格やスコアが極端に偏っているときはスルー
- 過熱・過小評価を避けるリスク管理として
✅ 実例:
- RSIのZスコアが +2.5 → フィルターOFF(過熱状態)
- Zスコアが ±1.0 未満 → フィルターON(平常ゾーン)
⭐ フィルターの複合活用:例と解説
複数フィルターを「AND条件」で組み合わせることが、実務では一般的です。
✅ フィルター複合例:
- 【価格 > 25MA】 AND 【ATR > 200】 AND 【Zスコア < ±1.5】
この条件を満たした場合だけ、RSIなどの戦略ロジックを実行。
📊 実験:
- フィルターなし:勝率 48%、PF 1.2
- フィルターあり:勝率 58%、PF 1.7(明確に向上)
⭐ 注意点:フィルターは“万能”ではない
- 過剰フィルターで機会損失になることもある
- 組み合わせはバックテストとIC検証で慎重に設計
⭐ まとめ
フィルター型特徴量は「地合いが良いときだけ戦う」ための強力な武器です。 その効果は劇的で、同じ戦略でもフィルターの有無でパフォーマンスが大きく変わります。
「今はやらない方がいい」という判断も戦略の一部——。 勝つために“戦わない勇気”を持たせてくれるのが、フィルター型特徴量の真価です。
次回は「Zスコア・標準化系特徴量」について解説します。